「紀子妃の右手」事件の黒幕 なぜ美智子さまは隠したがったのか?

文/佐藤公子

宮内庁は何故隠したがるのか?

宮内庁による言論統制はあるのだろうか?

悠仁さまについて「罰則付き報道規制」と呼ばれるものがある。つまり、宮内庁と宮内庁記者クラブのあいだで「悠仁さまに関する報道には、宮内庁から提供された写真・映像のみを使う。もし違背行為があれば、今後、宮内庁は便宜供与をしない」という協定が交わされていたことだ。この「罰則付き報道規制」の存在は、上杉隆『ジャーナリズム崩壊』(幻冬舎)のなかではじめて明らかにされたものであるが、元宮内庁職員の小内誠一さんによれば「これは氷山の一角」であるという。

「悠仁さまの場合には“罰則”が明示されている点で特異ですが、これとよく似た報道協定はしょっちゅう交わされています。一番有名なのは、天皇陛下と雅子さまの成婚報道です。国内メディアは報道協定により一定期間、この話題を記事にできなかったため、第一報が海外の新聞(ワシントンポスト)となりました」(小内誠一さん)

さらに小内さんによれば、昭和天皇の下血や、宮内庁長官(湯浅利夫)の第三子希望発言にも報道協定があったという。では悠仁さまの「罰則付き報道規制」が適用されたことはあるのか?

「全社が協定を守ったため罰則はは都合されませんでしたが、2008年2月に悠仁さまが顔面に怪我を負われ縫合手術を受けられた際も報道協定が交わされ、悠仁さまが回復されるまで発表が自粛されました」(小内誠一さん)

紀子さまと秋篠宮さまの“運命の出会い” 高校生の頃から始まっていた「恋の物語」

紀子妃の右手と美智子妃

「報道協定」といえば聞こえが良いが、現実には「報道規制」に他ならない。ジャーナリストの上杉隆さんは「国民を欺く談合」と極めて強い口調でこれを批判する。先の小内さんも「隠し事ばかりしているから宮内庁発表の信頼性がなくなってしまった」と嘆く。

今回はそんな小内さんが「奇妙な事件だった」と振り返る《紀子妃の右手》の真相を考察していきたい。この事件は1990年6月、秋篠宮殿下と紀子さまの成婚儀式の間に起きた。宮内庁の嘱託カメラマンだった中山俊明さん(共同通信写真部)が撮った一枚の写真が、宮内庁から差し止め要請を受けた。その写真とは次のもの。

紀子妃の右手(秋篠宮ご夫妻記念撮影、紀子妃やさしい心遣い)

紀子さまが秋篠宮殿下の髪を右手で整えているようにも、額を拭っているようにも見える。一見すると微笑ましい写真であるが、これが宮内庁から「掲載をやめてほしい」との要請があった。当時の緊急ファックスが残っている。次のような文面である。

「宮内庁総務課、芦澤係長から「秋篠宮ご夫妻記念撮影、紀子妃やさしい心遣い」の写真は、記念撮影ではないので取り消してほしい、との強い申し入れがありました。この件につき、各部長のご意見を至急お寄せ下さい」(1990年6月29日20:08)

しかし、すでに輪転機が動いていたこと、そしてカメラマンだった中山俊明さんが頑強に粘ったことから、宮内庁により差し止め工作は失敗した。翌日の朝刊には(あの新聞赤旗でえさえ)「紀子妃の右手」写真を載せた。しかし頑固を貫いた代償も大きく、この写真を撮った中山俊明さんは「嘱託カメラマンから追放」されることになった。

識者たち好印象も、宮内庁「厳罰に処せ」

この「紀子妃の右手」写真について、識者たちは総じて好印象のコメントを発表している。一橋大学教授・南博さんは「私は最初、宮内庁が問題ありとした今回の秋篠宮の写真は、国民と皇室との心理的距離を縮めるため、宮内庁が意図的に流したものだと思っていたんです」と述べていたほどだ(週刊ポスト 1991年7月20日号)。坂坂本三十次官房長官も、7月9日午前の定例記者会見で「なかなかほほ笑ましい自然なスタイルだ。ほほ笑ましい写真は悪いことではなく(国民が皇室に対して〉親近感を感じるだろう」とコメントした。

また、評論家の吉武輝子さんは「宮内庁にはセンスのいいPRマンがいないようですね。せっかくほほ笑ましくて庶民的な皇室のイメージが出てきたのに、それを必死で抑えようとするなんて。写真のどこが宮内庁の気に障ったかは分かりませんが、やはり妻は一歩下がってというのが必要だったんじゃないですか」と述べている(東京タイムス 1991年7月20日号)。

しかし宮内庁の対応は強弁であり、7月2日には宮内庁総務課長の前田健治さんが共同通信社を訪れ、カメラマンの中山俊明さんに“顛末書”を書かせることで秘密裏での事態収拾を図った。さらに宮内庁は「嘱託カメラマンのルール違反」を対外的に言い立てはじめ、それに対しメディア側も(今後の便宜供与拒否を恐れ)いっさいインタビューに応じず、組織としての態度を明確にしなかったため、徐々に世間では「勝手に撮って、許可を取らず掲載したカメラマンが悪いのでは?」という空気が醸成されていった。

さらにこれにとどめを刺したのは高円宮憲仁親王(1954-2002)による次の発言だ。

われわれが公共の場所に出たときは公共のルールに従わざるを得ないけれど、逆にカメラがこちら側に入り込んだときは、こちらのルールを守る。宮内庁に断りなく、頼まれた以外の種類の写真を発表したのはフェアではない。その意味で宮内庁の抗議は正しいと思います。

『週刊テーミス』1990年8月29日号

この高円宮発言に、問題の写真を撮影した中山俊明さんは「皇居宮般といえども国有財産であり、秋篠宮の結婚式は公費が支出される公式行事です。まぎれもなく公の場所の公の行事なんですから、はたして「こちら側」という認識は正しいのか」(週刊テーミス 1990年9月12日号)で反論したが、「皇族に異議申し立てをするなどもってのほか!」と仰天され、共同通信社を辞職せざるを得なくなった。

だれが何のために?

一人のカメラマンを追放にまで追いやった「紀子妃の右手」事件。いったいだれが何のために「情報統制」しようとしたのだろうか?

中山俊明さんは自著『紀子妃の右手——「お髪直し」写真事件』(情報センター出版局、1991)のなかで、クレームの元について「宮内庁内の旧守派が、皇室の威厳を保とうとして自粛要請を勝手にしたのだろう」と推測している。しかし元宮内庁職員の小内誠一さんは「宮内庁は省庁に過ぎず、皇族方の意向を無視して勝手にスタンドプレイすることはありません。まして情報統制と疑われかねない“報道規制”を下々が勝手に実行するなどあり得ません」と断言する。さらにその上で、

「当時、秋篠宮殿下と紀子さまのお二人は『皇族としての威厳が全くない』と宮内庁内で散々の評判でした。秋篠宮殿下は庶民的な方なので、一般人の結婚式と変わらない映りになってしまうことを美智子さまは大変気にされていました。髪を触るという行為はマナー違反ですから、写真を検閲された美智子さまあたりが、差し止めを求めたのではないでしょう。さすがに新婚ホヤホヤの紀子さまが差し止め下とは考えいにくいです」(小内誠一さん)

たしかに「秋篠宮殿下と紀子さまの“佇まい”に全く威厳がない」と苦言が飛び交っていたことは、当時の日記から確認できる。小林忍侍従の日記には、極めて激しい口調で次のように記されている。

平成2年6月20日(土曜日)

この四方のお写真は、正式の記念写真として問題がある。秋篠宮殿下が両手を前で組んでいるのは論外。最高の正装をし極めて改まった写真であるべきところ、こんな姿勢では良識を疑われるというべきである。従来から殿下は両手を組むくせがおありのようで、そういう写真をよく見る。陛下の左手も甚だよくない。掌を大きく開いている。自然にのばすか、軽く握るかすべきであろう。これもくせらしく、竹の間における国賓との写真でもみかける。

いずれもこの場に立合ったに違いない側近(侍従か)の者が当然注意してお直し願うべきである。カメラマンはそこまで立入って申しあげることはできない。折にふれ報道される写真であるだけに、特に日頃からキリットしない動作の多い秋篠宮殿下にとって大きなマイナスである。立合った側近の責任重大である。

小林忍『昭和天皇 最後の侍従日記』文藝春秋、2019

平成皇室の特異性

以上をまとめよう。《紀子妃の右手》事件は、ご成婚儀式の写真うつりが全体的に悪かったので、髪を触るというマナー違反の写真を外に出したくなったから起きたものであり、その背後には美智子さまの影が見え隠れしている――。事実、問題の写真を撮影した中山俊明さんも、写真にクレームを入れてくる美智子さまと紀宮清子さまに苦言を呈し、平成皇室に特異性を指摘している。

昭和天皇の時代も、写真のクレームといえばたいていは皇太子(現天皇)一家が住む赤坂からやって来た。しかし赤坂の侍従がつねにクレームをつけているわけではなかった。嘱託カメラマンが撮った写真のうち発表までに時間的余裕のある場合はかならず事前チェックを受けなければならなかった。昭和天皇はいわば侍従たちに“おまかせ”だった。昭和天皇の写真が侍従の検閲にひっかかったり、クレームがついたことはほとんどない、と先輩嘱託カメラマンからきいたことがある。

ところが赤坂は皇太子、美智子妃はじめ一家がすべて写真を見る。写真を見れば、「これはちょっと」といった“ご感想”がでるのは当然のことだ。その“意”をていして侍従が総務課に対して“注文”をつける。その場合も決して、「妃殿下がお気に入りではないようで」などという無粋な言い方はしない。“主語″をぼかすというのが、この世界のならわしだ。しかも写真のどこがどう悪いと具体的に指摘することもない。「もうすこし違った写真はないでしょうか」というもってまわったていねいな言い方でくる。考えようによってはこれはカメラマンへの気づかいともいえた。「写真の出来が悪いなどと失礼なことを言っているわけではないのですが…」とすべてが碗曲に表現されるのだ。……

クレームがつくのはほとんどの場合、美智子妃と紀宮の写真だった。女性が写真の写りを気にするのはあたりまえ。皇族といえども例外ではない。

中山俊明『紀子妃の右手——「お髪直し」写真事件』(情報センター出版局、1991)

報道協定は今も続いている。本当の皇室の姿が国民の前に明らかになる日は来るのだろうか?

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12 件のコメント

  • カメラマンが追放になったことを、平成の天皇夫妻は知っていたのでしょうか?
    掲載不可にするほどの写真とは思えませんが。
    美智子さんの検閲はいかにもありそうですが、不思議なのは 紀宮さんの着袴の義でボサボサ髪の写真を見たことがあります。あれは検閲をかいくぐって出回ったものだったのでしょうか。

    男児を産んだと言うだけなのに権力を持たせてはいけないのだと、美智子さんとキコさんをみて思います。男系を叫びながら夫たる男系を抑えつけていることに気づいているのでしょうかねぇ。

    • その通りですね。男の子を産んだ妃は偉い→妃が夫より立場が上位になる、という結果がありますね。
      男尊女卑のためにカカア天下になるという最近の皇室の構図。妻が皇室を牛耳る構図。

      もう男系男子を維持していくのは不自然です。昔の香淳皇后みたいな時代ではなくなりましたので。雅子様のように立派な社会経験があって、人間性ができた方を妻に迎えられるような皇族ではない限り難しい。

      それにしても高円宮憲仁さまがカメラマンに文句をつけられたのは何故でしょう。皇室の品位を落とす写真と危惧されたのでしょうか。しかしもともとがそういう方なのだから、粉飾しても仕方なかったのです。

      • 高円宮様は礼宮さまと紀子さまの肉体関係ありますって写真が、皇室全体を貶めるものと思われたのだと思います。
        恥を知る方の、自然な反応です。
        身内の恥だから。

  • この写真、掲載当日の全国紙朝刊に大変大きく掲載されていたものをリアルタイムで見ました。
    『礼宮さんと紀子さんは、結婚前に既に肉体関係があった。』
    という事を国民に遠回しに知らせているのだと感じました。
    そういう意味では、こんな写真、掲載して大丈夫?と驚きましたよ。
    なので、皇室側がまずいものを隠したい気持ちはよく解ります。

    >坂本三十次官房長官も、7月9日午前の定例記者会見で「なかなかほほ笑ましい自然なスタイルだ。ほほ笑ましい写真は悪いことではなく(国民が皇室に対して〉親近感を感じるだろう」とコメントした。

    結婚前の肉体関係を『ほほえましい・自然なスタイル・親近感を感じる』と、「一般人も皆、こういう付き合い方(婚前交渉)をしているしょ?だから大目に見て」と伝えたいのだと感じました。
    そして、この結婚を快く思っていないからこそ、自嘲であり、皮肉であるのだと感じました。
    この写真撮影段階の前に、肉体関係を何度も長い期間重ねないと、この場面で人目もあるのに堂々と皇族の、それも天皇の息子という高位皇族の髪を臆さず堂々と当然の様に直すなんて、とても出来ませんよ。
    皇族にはふさわしくありません。
    一般国民と皇族は違います。
    年間何十億の税金を使い、広大な敷地に40億の大邸宅で何十人もの御付きの人。全て国民が働いて納めた税金です。
    「一般国民だってしていること」などという主張をされるのなら、税金で暮らさず、働いて自分たちの力で今の暮らしをなさってください。
    公務は仕事ではありません。
    だって、全くしなくたって一生生活していけるお立場でしょ。
    令和の天皇家の様に、日本の象徴として相応しすぎるほどご立派で、お手本に出来るような方々なら、恭しくお守りし、弥栄をお祈りいたします。

  • あー、この写真、差止め要求出た本当の理由知ってる。
    本当はマナー違反が理由じゃなくて、結婚前からお体の関係がたっぷりありますと教えてる一枚になってるからだよ。

  • この写真について某ルートから、

    「この時、髪を直しているのではなく、汗を手袋で拭いた。」

    と聞きました。

  • 実家は朝日新聞だったので,例の写真は『若さあふれる』と礼賛状態でした。騒ぎになったのは知っていましたが,それでカメラマンが更迭されたとは❗️

    でも考えてみれば,皇太子様と雅子様だったら,あのような写真は存在しただろうか?
    それに,『こちら側のルールに』
    『公費で行う以上〜』
    今も論争の的ですね。
    公費で賄われているという自覚を持ってほしい皇族は数人いますが。
    品性を問われる方にも問題有りだと思いますが?
    まあ,あの2人の普段の関係がそのまま出たのでしょう?
    婚約してすぐ都市伝説か飛び交いましたからな.宮内庁というか,皇室側がピリピリしたのも頷けます。
    『カメラはミタ』写真は嘘をつきませね。

  • 当時この写真はほとんどの国民がみて、見た殆どの国民が

    あーやっぱり噂通りの関係だったのね。

    と噂したもんですよ。

    カメラは正直よね。

  • >美智子さまは大変気にされていました。髪を触るという行為はマナー違反ですから、写真を検閲された美智子さまあたりが、差し止めを

    >マナー違反の写真を外に出したくなったから起きたものであり、その背後には美智子さまの影が見え隠れしている。

    マナー違反を繰り返し、日本に国際的赤っ恥をかかせ続けた張本人がよくもまあ…。

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